帰化手続き
事前相談から許可までの流れは次の通りです。帰化申請では、必要書類の収集と正確な申請書類の作成がポイントとなります。
住所地を管轄する法務局・地方法務局またはその支局の国籍課や戸籍課で相談 | ⇔ 行政書士など専門家への相談 |
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申請に必要な書類の収集 |
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申請書類の作成・チェック |
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法務局・地方法務局またはその支局に申請 |
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書類の点検 |
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諸官庁照会 (申請人の申請内容について) | 税務署・年金事務所・市区町村役場・公安調査庁・都道府県警など |
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書類審査・調査開始 |
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審査面接(インタビュー) / 追加提出書類の指示がある場合は対応(補完) |
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法務大臣(法務省民事局)へ進達後法務大臣決裁 |
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許可 |
*不許可の場合は、法務局より申請人へ通知
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官報告示 |
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法務大臣(法務省)通達 |
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法務局から申請人へ通知 |
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帰化届の提出 / 在留カードの返納 |
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新戸籍編成・住民票 |
申請までの流れ・ポイント
帰化は法務局の管轄です
帰化許可申請は、入国管理局ではなく法務局の管轄となります。一般的には、行政書士などの専門家に相談して、最寄りの法務局に予約をとって専門家と一緒に事前相談することから開始します。
事前相談については、関東の場合は地方法務局またはその支局によりますが、早ければ電話での予約から3日~7日で遅ければ1か月程度待たされる場合もあります。スケジュールには余裕を持てるよう調整して電話で予約します。
行政書士などの専門家に相談する
専門家に相談することのメリットは、自分(申請者)が帰化許可の要件を満たしているのかどうかを確認したり、帰化申請に必要な様々な提出書類を教えてもらったり、帰化許可に向けてのいろんなアドバイスを受けることがきることです。
そもそも帰化許可の要件を満たしていなけば、帰化許可の申請はできませんし、各申請者の実情により収集すべき必要書類を判断し正確に集めるのはかなりの労力がいりますので、申請にかかる時間を効率よく進めて、許可の可能性を高めるやめには、専門家へ相談することをお勧めします。
提出書類の収集
専門家への相談で必要な書類がわかったら、さっそく書類の収集を行います。申請に必要な書類は、日本の官公庁のものだけではなく、本国へ請求して取り寄せが必要な書類もあります。そして、母国の書類は日本語への翻訳も必要となります。この必要書類の収集には予想以上に時間と手間がかかりますので注意が必要です。
尚、当事務所の場合は、日本国内の官公庁への必要書類の収集代行を行う料金プランがありますのでおまかせいただくことが可能です。
申請書・提出書類の作成
前述の必要書類の収集と申請書・提出書類の作成は帰化申請の大事なポイントです。誤字・脱字にも十分気をつけながら正確に提出書類を作成しなければなりません。本国書類の日本語への翻訳(翻訳者名記載)も必要ですので書類の収集と同じように時間と手間がかかります。
帰化申請には時間がかかりますが、あまり時間がかかりすぎる場合は仕切り直しが必要となります。たとえば、ご自身で法務局に最初の相談をしてから3ヶ月以上経ても提出書類が集められず、申請ができないような場合は手間と時間ばかりかかって気持ちが折れてしまうことにもなりかねませんので行政書士などの専門家に相談することをお勧めします。
申請
申請も最初の事前相談と同様に電話で予約を取ってから法務局で行います。申請は申請者本人(原則、本人出頭主義)が法務局の窓口にて行います。ただし、15歳未満の申請者の場合は親権者などの法定代理人が行います。
法務局によっては、申請の予約も1ヶ月近く先になる場合もあり得ますのできちんと計画を立てて迅速に行動していく必要があります。
審査面接について
帰化申請は、申請書類に不備がなければ受理されます。その後概ね2ヶ月から5ヶ月後ぐらいに法務局より連絡があり、審査面接の日程が決定されます。この面接には行政書士などの専門家は同席できませんので自分(申請者)で対応しなければならず、初めて対面する面接官にどのような事を聞かれるのか、どのように対応すればよいのか緊張と不安が高まる方が多いようです。
そこで、帰化申請の面接では何を聞かれるのか?担当面接官は何を確認しようとしているのかについて説明したいと思います。事例については、過去の帰化申請者へのアンケートやインタビューを元に整理したものですので参考としてください。面接の内容は、申請者ごとの個別の事情に基づいてなされますので必ず同じ質問がなされるとは限りません。
基本は、帰化しようと判断した理由、申請書類に記載の内容に虚偽がないかを中心に日本の国益や国籍法などの条件を満たしているのかが中心となります。具体的に見ていましょう。
入国してから現在までの経緯
居住要件である「引き続き5年以上日本に住所を有すること」の経緯などを確認するために、日本に入国してから現在までの在留歴や母国での出生からの経歴等の確認の質問です。
・出生地はどこか?
・日本へ来ることとなった理由
・来日してから現在までの経歴(居住歴、学歴、職業歴、アルバイト歴、婚姻歴等)
婚姻について
「自己又は生計を一つにする配偶者その他の親族又は技能によって生計を営むことができること」を確認するために、配偶者はまじめな人物か、偽装結婚ではないかといった視点からの質問です。
・配偶者と知り合った時期や場所及び付き合い始めたきっかけや交際期間
・職業歴、アルバイト歴、就職歴
・配偶者の会社名、仕事内容、就業場所、給与額 ・配偶者も外国人の場合は、帰化意思の有無
家族・婚約者について
婚姻についてと同様ですが、「自己又は生計を一つにする配偶者その他の親族又は技能によって生計を営むことができること」の確認や日本との関係性(結びつき)を把握するための質問です。
・在留中の兄弟姉妹の帰化状況
・在留中の兄弟姉妹の婚姻状況や仕事、子供の有無、その配偶者の国籍
・同居の家族の有無、続柄やその年齢
・帰化に対しての両親の賛成や反対及びそれぞれの理由
仕事内容について
仕事内容については、申請書記載の内容で本当にその会社で仕事をしているのかや家族や子供や配偶者などの就労制限等は守られているか、在留資格に沿った適正な就労状況であるか、違法な風俗産業での労働はしていないか等を確認するための質問です。
・職業歴、アルバイト歴、就労歴
・各々の会社名や業種
・各々の給与額
・各々の仕事の具体的な内容(1日の業務の流れ、具体的な仕事内容、取引先、成功や失敗経験など)
・職場の人間関係、平均年齢、人員構成、各々の担当業務など)
・通勤経路、通勤時間、定期代
・転職予定の有無
犯罪、違法行為・不法行為等について
主にいわいる「素行が善良であること」を確認するための質問です。例えば、過去にの交通違反で罰金刑に処されたことがあった場合など隠したりうそをついたりせず、正直に話すことが大事です。
・警察に係った事件(けんかや万引きなど)の有無とその内容
・交通違反歴
・過去に例えば交通違反などの法令違反があった場合は、その違反行為についてどのように感じているか、その後どのように注意して生活しているかなど反省や更生度合を確認する質問もなされます。
・銀行口座からの出入歴(多額の支出や入金の理由、相手先など)
税金や年金保険料の支払状況について
申請時に提出している資料で確認されているため、面接時に質問されることはめったにありませんが、申請後面接時の間に未納が発生した場合には不許可となります。
健康状態について
いわいる「行為能力を有すること」の確認のための心身の健康状態についての質問がされることがあります。
・持病やけが、入院歴、通院歴、最近の体調などを可能な限り答えられるに準備しておきましょう